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経緯報告書の基本的な書き方と例文

更新日:2024年03月05日

経緯報告は誰でも出来る「パシリ」仕事とも見做されがちですが、その書き方で躓いては大損です。反面、トラブル発生時などに的確な経緯報告を行う書き方を身につけていれば、危機管理能力をアピール出来ます。「パシリ」を”バネ”として、自身の能力アップに繋げましょう。

経緯報告書の基本的な書き方

経緯報告書の目的

経緯報告書、経過報告書は、事案/プロジェクト(PT)の進行過程において、その進捗状況等を取り纏め、報告することが主な目的となります。作成するタイミングがPT等の進行中であることを除くと、一般的な「報告書(実績報告書、経緯報告書、顛末書等)」の書き方とも、根底では相通じる面が多くあります。

経緯報告書の作成にあたり、まず、その報告書の位置づけ、目的をしっかりと認識することが出発点となります。報告書一般に共通することですが、経緯報告書も対象PT等の進捗状況に応じて、(A) 「問題なし」、(B) 「一部変更が必要」、(C) 「トラブル発生」に大別することができます。また、最も単純なものとして定例報告があります。

進捗状況の見極め

報告対象のPT等について、何が起こっているか、どういう状況にあるのか、その現状を的確に把握し、見極めることが必要です。「問題なし」か「トラブル発生」かは、一目瞭然なケースも多く、見極めはそれほど難しいものではないでしょう。ただし、近年のビジネスにおいては、何かにつけて「説明責任」が問われる時代です。ちょっとした見過ごしが、後々になって大きなビジネス・リスクに繋がる可能性もあります。

気掛かりがあれば、直属上司やタスクチーム仲間とも相談し、少なくとも「担当チーム」として、現状分析に対する所見、認識を取りまとめることが重要です。

進捗としては概ね順調なときでも「一部変更が必要」、「こうすればもっとスピーディーに達成できる」、「コスト削減、収益上積みができる」などの修正、改善提案が必要と思われる状況、またはその兆しがある場合にも、担当者だけの考えに留めず早い段階で周囲との連携、相談を行うことが必要です。

また、進捗状況の見極めにあたっては、経緯報告書も、所謂、PDCAの一環を担うものである点を勘案することが重要です。計画立案(Plan)、実行(Do)を受け、その実施状況の確認(Check)が正に経緯報告書そのものの位置づけとなります。(B) 「一部変更が必要」、または(C) 「トラブル発生」の場合には、それらに対処するための次善策(Action)が必要となります。

これらActionのための報告書、提案書は経緯報告書とは別に作成されることが多いと思われがちですが、経緯報告書においては、当初の想定外の事柄の発生やその兆しがあることの報告に留まらず、次のActionの方向性を示すことが、実際のビジネスの場ではより望ましいものとなります。

なお、どう考えても、こんな単純明快なタスクに何らかのトラブル、想定外のことが起こることなどあり得ない、と思われる場合もあるでしょう。そのようなケースであれば、経緯報告書の書き方にあれこれ悩む必要はありません。予め報告テンプレートを作成し、報告の対象期間、報告日付などを更新すれば、それで問題解決です。そもそも、そういった事柄であれば、経緯報告書の作成を求められることもなく、必要であっても、メール等の簡易なもので済む場合もあります。

対象PTの性質を見抜き、メール等での代替が可能、適切と考えられる場合には、マネジメントに対して、タスク簡素化の提案を行うことも、報告担当者としての重要な役割です。

経緯報告書の種別と書き方

1.定例報告

事実を端的、簡明に記載することがポイントです。

事実以外のトピックス的な内容、参考情報等を加筆する場合には、読み手(社内マネジメント/社外のクライアント)のニーズ、発信側である自部署・自社の観点で発信したいメッセージが有るのか、発信メッセージがある場合にはその内容なども勘案し、事実以外の情報を加えることが、社内の意思疎通やクライアントとの関係強化に役立つものか、しっかりと見極めることが重要です。

また、定例報告のタイミングであっても、後段のような個別報告を行う必要がある場合には、定例か否かの様式に拘ることなく、迅速、的確な報告を行うことが必須です。

2.個別報告

(A) 「問題なし」の場合
定例報告を行うことを予め定めていない場合で、社内マネジメントやクライアントから経緯報告を求められることもあります。報告対象のPT等の進捗状況に特段の問題がない場合には、前記「定例報告」の場合と同様、進捗状況を簡明に取り纏め、報告します。

(B) 「概ね順調/一部変更や強化施策などが必要」な場合
修正、改善が必要な状況を的確かつ、できるだけありのままに把握することが重要です。加えて、問題点に対する評価も適切なものであることが必須です。繰り返しですが、この評価は、担当者個人の見識、判断に留めず、担当チームや自部署など、組織単位での共通判断とすることが重要です。

また、まだ「トラブル」となっておらず、自発的な問題意識の提唱という状況であっても、ネガティブな情報ですので、初動のタイミングを逃すことは断じて避けなければなりません。問題点やその兆しがどれほど深刻で、どの程度のスピードで対処が必要なのかにもよりますが、経緯報告書の段階では、必ずしも、具体的な改善施策まで確定する必要はないでしょう。改善提案の取り纏めに時間を要すると思われる場合には、報告実施を優先すべきと心得ましょう。

(C) 「トラブル発生」
この場合、直ちに社内マネジメントやクライアントに対して、トラブル発生を報告するとともに、再発防止等の事後対応についても、それなりの具体的な指針を早急に取り纏め、報告することが重要です。

また、トラブル発生の原因について、その責務が誰にあるのか、併せて、しっかりとした初動段階での分析を提示することも重要です。特に、社外向けの事案の場合には、事後の損害賠償の趨勢にも影響を与える可能性までを見据えた初動対応が必須です。

なお、この時点では、対象PT等をそのまま継続することを前提として「経緯報告書」を取り纏めたとしても、後日、トラブルの再発防止施策が固まった時点で、対象PT等を中止することとなれば、結果的に、この報告書がほぼそのまま、「顛末書」となる場合もあります。

経緯報告書の基本項目と書き方

1.進捗判定(報告骨子)

PT等はスケジュールとおり順調に進んでいるのか、何らか修正が必要なのか、トラブル発生なのか、まず、結論を端的に記載します。

「修正が必要」、「トラブル発生」の場合には、その主な原因と今後の施策の方向性等に関して、簡単なコメントを添えることができれば、より望ましい書き方となります。

2.進捗判定の事由、根拠

当初のスケジュール、実際の達成状況を時系列で表のかたちで纏めると、見やすく、解りやすい書き方となります。

当初計画との差異が生じた事象について、関係者からのヒアリング、社外取引の場合にはクライアント・サイドの関係者からも事実確認を行うことができれば、より実効的なレポートになります。

「進捗状況の見極め」で述べたとおり、進捗判定の事由、根拠については、担当者個人の考えに留めることなく、組織的な合意とし、社内マネジメント・クライアントへの説明責任に耐えうる内容となるよう取り纏めるとともに、その根拠となる証跡を確保することが重要です。

3.次善策に向けた検討事項、考察結果

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初回公開日:2017年08月03日

記載されている内容は2017年08月03日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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