「拘泥」の意味と使い方・読み方・類語・語源と由来|拘泥せず
初回公開日:2017年12月07日
更新日:2020年08月14日
記載されている内容は2017年12月07日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。
「拘泥」とは?どんな状態で使うの?
商品のキャッチフレーズに、「こだわりの逸品」や「素材にこだわった~」という表現をよく目にします。「こだわり」には妥協を許さない、信念を持って物事に臨む良いイメージがありますが、そのこだわりがあまりにもエスカレートすると、よくない状況に陥ることもあります。
「拘泥」と「拘泥する」
「拘泥」、「拘泥する」は、一つの物事にこだわるあまり、まわりが見えなくなって本来必要な行動や正しい判断ができなくなる様子や動作を意味し、あまり良くないこだわり方に対して使われます。
・勝ち負けに拘泥するあまり、試合の本質が見えていなかったのが敗因です。
・彼女は自分の願望に拘泥して、まわりのアドバイスを聞こうとしなかった。
・今のあなたに必要なのは、過去の栄光に対する拘泥を捨てることです。
拘泥しない
「拘泥しない」は「拘泥する」を打ち消す表現です。会話で用いられる口語表現で、わかりやすく言えば「こだわらない」、「執着しない」ということですが、それをより強調した表現や相手の行いを見かねて戒める場合などに使われます。
(例)
・彼女の何事にも拘泥しない生き方は、多くの人の心を癒した。
・地位や名誉に拘泥しない。
・色々な人がいますから、細かいことにはいちいち拘泥しないようにして下さい。
・君はいつまでそんなつまらないことに拘泥しているんだ。
拘泥せず
「拘泥しない」と同じ意味ですが、「拘泥せず」はどちらかといえば文章の中で用いられることが多い表現です。「~せず」は「~しない」より古くから用いられていたので、「拘泥しない」よりも固いイメージがあります。また、「拘泥しない」がより強調された印象を受けます。
・コツは細部に拘泥せず、輪郭を描くことです。
・社会的な概念に拘泥せず、強い意志を貫いた結果今の彼が存在します。
・対人トラブルを避けるには、人との関わりばかりに拘泥せず自分軸で生きることも重要です。
「拘泥」の読み方は?
「拘泥」と書いて「こうでい」と読みます。「くでい」や「くどろ」「こうどろ」などと間違えないよう、正しく覚えておきましょう。
「拘泥」の語源や由来は?
拘泥という文字の語源や由来を考えるとき、「拘」と「泥」二つの漢字が持つ意味が重要になります。それぞれを分けて、詳しく見ていきましょう。
拘の読み方と意味
拘(コウ)という文字は行動や思想の自由に制限を与える「拘束」や、捕まえて一か所に拘束する「拘留」などに使われます。ちなみに刑事事件で逮捕された被疑者や被告人を警察の施設に入れておく場合も「拘留」と言われることがありますが、正しくは「勾留」です。覚えておくといいでしょう。
「拘」の別の読み方をする単語には、以下のようなものがあります。いずれも何かにかかわり、それにこだわって他の行動や考え方ができない状態を表す意味があります。
読み方 | 意味 |
---|---|
かかずらう(拘う) | かかわる、かかわりあい離れられなくなる、自分の主張を譲らない |
かかわる(拘る) | 関係を持つ、(取るに足らないことに)こだわる |
こだわる(拘る) | こだわる、執着する、すんなりと物事が運ばない |
とどめる(拘る) | ある状態のまま動かない、変化しない |
泥の読み方と意味
泥(デイ)という文字は、「泥沼」「泥水」「泥棒」「泥濘(ぬかるみ)」「泥酔」に使われるように、「ドロドロした」「足を取られて動きが取れなくなる」、「汚いもの」、「汚れたもの」という悪いイメージを表現するときにに使われることが多い漢字です。別の読み方をする単語とその意味をあげます。
読み方 | 意味 |
---|---|
どろ | 水気のある柔らかい土/けがれる/けがす/汚れる/にごる |
なずむ(泥む) | いったん物事に捉われると、そのことだけに囚われる/滞る |
「拘」と「泥」で?
子どもが不名誉な事態を引き起こすと、「親の顔に泥を塗る」と言います。「泥」という名詞はそれだけで「けがす」「よごす」を象徴的するような悪い意味を持っています。
「拘」と「泥」の二つの漢字を合わせると、何かにこだわりそこにとどまっているうちに、泥沼に足を取られて自由を奪われてしまったイメージが浮かんできます。そして泥が持つ「なずむ」の意味が、「拘」の持つ性質と重なり、良くない「こだわり」の意味がさらに強調されてできた言葉だということがわかります。