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【業界研究】半導体業界の現状・動向・課題について

半導体とは、電気を通す金属などの「導体」と電気を通さないビニールなどの「絶縁体」の性質を持ち合わせた物質のことを指します。この物質を使って製造されたトランジスタ(※)やコンデンサ、ICなども便宜的に半導体と呼ばれています。

半導体業界の国内市場規模は3兆7,651億円

WSTS(世界半導体市場統計)の発表によると、2015年の日本の半導体市場規模は311億200万米ドルで前年比10.7%の減少となりました。為替変動を加味した円ベースでみると、同2.3%増の3兆7,651億円となります。

世界の半導体市場は、2009年のリーマンショックの影響による縮小を底にその規模を拡大させており、今後も世界経済の緩やかな回復を前提として市場は拡大するものとみられています。日本市場のマイナス幅は2012年以降の急激な円安によるものであり、円に換算すると成長していることになります。

業界の課題

業界全体で寡占化する恐れ

半導体メーカー各社が競争力を維持するには、半導体素材の大口径化・小口径化といった取り組みが必要になりますが、多くのメーカーが設備や研究の開発費を捻出することができずに苦労しています。

当然、メーカー各社が最先端プロセスの開発・製造から撤退する方向に向かうのはごく自然の流れであり、そういった状況からみても、今後はインテルやサムスンといった体力的に余裕のある企業を中心に最先端プロセスの開発・製造が行われていくものと考えられます。つまり、半導体業界はハイエンドとローエンドという2極化の構造となり、さらなる寡占化は避けられないものとなるでしょう。

提案力を強化し、収益を生み出すことのできる製品の開発を

日本の半導体産業は総合電機メーカーの一部門として成長してきたこともあり、家電向け半導体といった少量多品種生産を行なってきました。

ただ、この傾向がインテル製品のような圧倒的シェアを獲得できない原因となってしまっているのも事実です。業界全体が国内志向のため海外マーケティング力も不足しており、さらなる競争力の低下をもたらしてもいます。

海外市場のニーズを汲みとって提案力を強化し、収益を生み出すことのできる製品を開発する必要があります。

業界の今後の将来性

十分な自己資本を備えること

価格が変動する可能性が高く、大規模投資が必要になる半導体業界においては、まず経営と財務の安定が重要になります。

インテルやサムスンなどが自己資本比率を50%以上に高め、半導体市況の変動に耐えるだけの財務基盤を構築していることに比べれば日本の半導体メーカーの財務は見劣りするとしかいいようがありません。足腰を鍛えて十分な自己資本を備えることが国際的な競争力強化のための第一歩となります。

自動車、IoT、医療、ヘルスケアといった分野はさらに拡大していくものと考えられており、当面はこの分野での提案力や開発力の強化が最優先課題となるでしょう。

業界研究本

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのがの理由です。

2016年に発行された本です。半導体業界の基本から、世界の動き、主要メーカーの動向、半導体技術、半導体アプリケーション情報に至るまで幅広く取り扱っているので業界研究本として就活生に最適な1冊となっています。ただ2016年以降も業界内におけるM&Aは進行過程にありますので、情報的に古くなっている部分もあると踏まえた上で読んでいただければと思います。

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