「ネクロ」の意味と使い方・語源・対義語|ネクロノミコン
初回公開日:2017年12月27日
更新日:2020年08月20日
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「ネクロ」の意味と語源
「死」や「死体」を意味する英語の接頭語
ネクロ(necro)は英語の接頭語です。接頭語という意味は、それ自体が単語として用いられず、他の単語が後ろについてくる言葉です。日本語で言えば「超新星」「超大作」の「超」のようなものを接頭語といいます。
逆に単語が前についてくるのは接尾語といい、日本語で言えば「深さ」「高さ」の「さ」や「個人的」「知的」の「的」などがあたります。
接頭語「超」には「とても多い」「とても大きい」というような意味があるように、ネクロ(necro)にも意味があります。それは「死」や「死体」です。ネクロ(necro)という言葉を単語の頭につける事によって「死の○○」を意味する単語になります。単語の頭文字が母音の場合は(necr)です。
ネクロの語源は古代ギリシャ
現在、判明している範囲でネクロ(necro)の語源は、古代ギリシャまで遡る事ができます。古ギリシャ語では「死者」という意味でネクロ(νεκρός)と使っていました。そこからラテン語やフランス語を経て、英語となりました。
現代のネットスラングとしての「ネクロ」の意味
時代と共に、言葉の意味が変わったり、新しい意味がつけたされる事はよくあります。ネクロは接頭語ですが、英語圏のネット掲示板では動詞としてネクロ(necro)が使われています。
これはもう更新が止まった掲示板のスレッドを「死んだスレッド」と例えて、それを復活させるという意味で、古いスレッドにレスを書き込むことを「necro(ネクロ)」もしくは「necrobump(ネクロバンプ)」と呼んでいます。ゲームなどで死者を操るネクロマンサーのイメージからつけられたのでしょう。
ちなみに「bump(バンプ)」には強い力で押し上げるという意味から、スレッドを上げる(更新する)という意味が英語圏のネットスラングとしてあります。日本語で言うと「age」みたいな感じです。
死に打ち勝つ飲み物
ネクターと言えば、果実をすりつぶして作るソフトドリンクで、日本の飲料メーカーでも発売されているなじみ深い飲み物です。しかし、この「ネクター(nectar)」の語源には死を意味する「ネクロ(necro)」が関係しています
ギリシャ神話に出てくる、神々が常食しているお酒の名前で、「死に打ち勝つ飲み物」という意味のネクタルが語源になっています。
「ネクロ」の対義語
ネクロが「死」を意味するのなら、その対義語は「生」や「復活」を意味する接頭語となるでしょう。
復活を意味する「revival」や「revive」の「re(リ)」は「再び」を意味する接頭語です。また「bio(バイオ)」は「生命」「生物」を意味する接頭語で、「viv(ヴァイヴ)」も「生命」や「生体」を意味する接頭語になります。
「ネクロ」が使われている英単語
ネクロマンサー
ネクロマンサーはファンタジー系のゲームや漫画などに馴染みの深い人ならば、よく聞く単語でしょう。英語では「necromancer」と書きます。意味は「死霊使い」と訳される事がほとんどです。
これは古ギリシャ語で「死者」を意味する「ネクロ(νεκρός)」と、「占い」を意味する「麺ティア(μαντεία)」を付け足した言葉です。古代ギリシャの霊媒師や、死体を用いた占い師を表すと考えられています。またネクロマンサーたちが使う交霊術や占いを「ネクロマンシー(necromancy)」と言います。
しかしヨーロッパでキリスト教の価値観が主流となっていくと、ネクロマンサーたちの使う術は死者への冒涜とされ、密かに行われるようになり、「黒魔術」や「魔術儀式」と変化してきました。現代ではファンタジーゲームで、死者の魂や死体を操る魔法使いを意味する言葉となっています。
ネクロノミコン
ネクロノミコン(Necronomicon)は、ハワード・フィリップス・ラヴクラフト著の小説「クトゥルフ神話」に出てくる重要アイテムで、架空の書物です。
ノミコンの意味は、古ギリシャ語で「法律」という意味の「ノモ(νόμος)」と「イメージ」という意味の「エイコン(εικών )」を足した言葉で、直訳的な意味では「法律書」や「説明書」となります。転じて「本」や「魔導書(魔術指南書)」という意味です。
そこに死を意味する接頭語「ネクロ」をつけて「死の魔導書」という意味の「ネクロノミコン」と名付けられました。ネクロノミコンは20世紀初頭の作家の作った架空の書物ですが、ファンがそれを再現して出版したことも度々あり、世界で有数有名な魔導書として知られています。
ネクロポリス
ポリス(polis)はギリシャ語で「都市」を意味します。ネクロポリスは「死者の都」、つまり巨大な墓地となります。大都市近郊にある広大な共同墓地や、古代文明の墓所などに使われ、転じて人が住まなくなった都市や町を指す事があります。
英語圏ではなくても、エジプトのピラミッドや、中国にある始皇帝の墓もネクロポリスと呼ばれます。これらは王が死後も生活に困らないように、生活必需品や使用人を象った人形などの副葬品とともに埋葬されていました。まさに死者の暮らす都と言えます。
ネクロラトリー
ラトリー(latry)は「崇拝」を意味する接尾語で、ネクロラトリーは「死者崇拝」となります。死んでしまった先祖の霊を敬う文化は、日本や中国などの東アジアでよく見られます。「祖霊信仰」とも表記されます。