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【業界研究】機械業界の現状・動向・課題について

機械業界は、私たちの日常生活に深く関連する製品の生産に欠かせない設備機器を提供している業界です。家電や自動車、船舶、航空機から環境・宇宙開発といった技術まで対象とする産業は多岐にわたり、現代においてはほとんどの産業を支えているといっても過言ではありません。

経済産業省「生産動態統計」等によると、2015年度の機械業界の生産額は68兆3,436億円で、前年度比0.9%の減少となりました。

内訳をみると、飛行機・鉄道車両を中心とする輸送用機械が前年度比16.6%増、情報通信機械が同18.9%減、半導体が同10.7%減、はん用機械が同10.2%減、建設機械が同7.9%減となっており、輸送用機械以外のほとんどで減少するという厳しい状況にあります。

業界の課題

スマイルカーブと収益性

スマイルカーブとは、台湾のコンピュータメーカーであるエイサーが提唱したものといわれていますが、要は、収益源が製品の組立からアフターサービス等に移動する現象のことをいいます。笑った時の人間の口の形と同じような曲線を描くことから、そのように名付けられました。

製品の製造の流れをみると、川上から川下に向かって、企画・マーケティング→部品生産→組立→販売→アフターサービスとなるのが一般的です。そして、従来において最も付加価値が高かったのが、川上でも川下でもなく、川中にある組立でした。組立には高度な技術を必要としたからです。

しかし、近年、デジタル化が進んだことで、高度な技術がなくても組立を行うことができるようになり、組立の付加価値が一気に下がって、川上の企画・マーケティングや川下のアフターサービスの価値が高まる結果となりました。これが両側が高く中間が低いスマイルカーブの状態であり、価値の下がった組立では収益を上げることができなくなったことを意味しているのです。

ものづくりには定評のある日本の機械メーカーですが、そろそろ単にものをつくるだけのメーカーから脱却しなければいけません。

業界の今後の将来性

新しいスタイルへの転換を

機械業界各社は製造コストを下げるために積極的に海外移転を進めてきました。しかし、現地での人件費の高騰を理由に海外から海外へと移転を繰り返すことで、逆に収益を悪化させる企業も出てきたことから、日本国内への回帰志向が高まっているようです。

もちろん、国内は国内で少子高齢化が進み、為替の円高シフト等の影響から機械業界全体で低迷が続いている状況ですが、このようなときこそ発想の転換が必要で、ハードウェア中心のスタイルから脱却してソフトウェア中心のそれへと転換を図るべきでしょう。

ものづくりの技術は不要になったわけではなく、引き続き大切な要素であることに変わりはありませんが、ものをつくるだけでは生き残れない時代になったことは確かです。そして、そのような状況のなかでもいまだ技術に頼ろうとしている機械メーカーが多いのも日本の機械業界の特徴であり、このような低迷期こそチャンスととらえて、まずはマーケティングやサービスを重視するスタイルへの転換を経営意識のなかに持ってほしいところです。

業界研究本

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのがの理由です。

機械産業を総体的に解説している本で、工作機械業界、ロボット業界、建設機械業界、プラント業界、精密機器業界、重機械業界、農業機械業界、縫製機械業界、食品機械業界、印刷産業機械業界が掲載されています。各業界の情報量は少なめですが、機械関連業界が10業界も収録されていますので、とりあえず漠然と機械産業方面への就職を考えている方には業界研究の入門書として最適かもしれません。

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